Ericoからお茶のお誘いがあって少しビビった。なにしろわざわざトレーニングスタジオの近くまで出張ってきた。もしかしたらまた良くないお話なのかもしれない。役者のお話の80%が良くないお話である。
なんてことなかった。突然ヒマができたらしい。役者からの呼び出しやらお電話にびくつくのはいいかげんやめたいものだ。
よかったよまったく。私はこのところ、置いてけぼりの子犬のように元気がないのだ。これ以上弱りたくない。
体調がもう一つである。右側のお尻が痛い。しかも足がしびれる。どうやら坐骨神経痛らしい。ある朝、目覚めたら突然なっていた。生まれたての子鹿のように足が立たなかった。びっくりした。
病院に行ったら「原因は加齢」だとさ。膝痛のときも肩痛のときも「原因は加齢」と言われた。なんだよ加齢って。加齢と言えば私が納得すると思ったら大間違いである。絶対に認めないぞ。
今日はついに、一生黙っている覚悟だったモヒカントレーナーにまで尻痛を告白するはめになった。だってごまかしようがないくらいトレーニングがダメダメだったのだ。トレーニングがダメダメだと一番へこたれる。つい告白してしまったの身体より心が弱っていたせいだ。
このまま思い切りジャンプできなかったり、長い時間走れなかったり、できない腹筋がますますできなくなったらどうしようと不安はつのる。トレーニングに関してはほとんど脅迫神経症で、「休む」ことや「手を抜く」ことを考えただけで気持ちが沈む。(私はバレエダンサーかっ)
負けないぞっ。必ず治してやる。こういうときこそ鍛えた筋肉が物を言うはずだ。
気持がほんわかすることもあった。
『サンタクロース〜』のDVDを観た優太のママから素敵なお手紙をいただいたのだ。
私はよく役者たちに、「ご両親に観てもらえ」と言う。小劇場という、なんだかよくわからないことをやっている息子や娘を、ママが心配していないわけがない。私の芝居はそんなママたちに少しの安心を差し上げることができる。玉組を観たからといって心配が消えるわけではもちろんないが、それでも小劇場にありがちの「暗い・わからん・貧乏臭い」の三点セットがないだけでも、ママはホッとするだろう。
もしこれが初めて観る息子の芝居なら、「息子はそれほどバカなことをやっているわけでもないらしい」と思ってもらえるかもしれない。