良い季節だ。出不精の私もさすがに出かけたくなる。しかしあいかわらず家でじっとしている。せいぜい映画館へ行ったくらいだ。 映画館と季節は関係がない。家でも映画館でもじっとしていることに変わりはないし、むしろ暗いぶん映画館の方がじっと感は大きいくらいである。観たのは『ドラえもん』。何の感動もなかった。どうして観ようと思い立ったのかわからない。 そうそう、スタジオの皆さまと人生2度目の登山(途中までリフトに乗った高尾山を除く)に行こうともした。でも雨天中止。なんだよっ、万障繰り合わせての一大決心だったのに。奥多摩にそびえる御前山。カタクリが自生していて今が開花の季節だというので楽しみにしていたのだ。 一緒に行くオーナーにもウキウキしながら釘を刺したものだ。 「今度は登山のカッコじゃないとダメだからね」 前回の御岳山&大岳山のときは、登山靴は履いていたもののお衣装はジーンズだったのである。ダメよダーリン、お衣装に手を抜いては。雰囲気が出ないもの。 私自身は故障を抱える左膝にサポーターを装着して当日までの日々をすごした。このところ膝は痛くもなんともないのだが、万が一グキッとなったら取り返しがつかないと思って万全を期した。膝痛で登頂断念なんてかっこ悪すぎる。 トレーニングも「体調を絶好調にしておきたいから軽めにね」とお願いしたが、もちろん何の手加減もしてもらえなかった。お願いが通ることは絶対にないとわかっているのにお願いしてしまう自分が情けない。 これほど気合いの入った山行きだったのである。 あー悔しい。こんなにお天気の良い日々が続く春はめったにないのに、どうして万障繰り合わせてのとっておきの一日が雨なのか。私のツキの無さったら格別だね。山くらい登らせてくれてもいいじゃん! とうぜん今はもう、膝のサポーターは取り外している。グキでもポキッでもかまうものか。ふんっ。 とまあ、そんな最近の私です。 この素晴らしい季節、誰か私を山に誘ってくださいませ。(経験者求む。さすがに一人で登るのは恐い) 登山が趣味なんて健康的なヒト、演劇関係者では居なさそうだ。 演劇関係者ではないのだが実は一人だけ心当たりがある。毎週高尾山に登っている。若くハンサムなスポーツマンで、一日に高尾山を二往復する。どうして同じ山に二回登るのかわからんが、たぶん一回だと物足りないのだろう。問題は私のことが「好き」か「嫌い」か「どっちとも言えない」かわからないので、とても「連れて行け」とは言えないことだ。それと、高尾山以外に興味があるのかも知らん。 あー、山に行きたい。 雨天中止をリベンジしたい。森の匂いを嗅ぎたい。岩をよじ登りたい。 休憩中に膝をぐりぐりしながら「ちょっと痛い」とかも言ってみたい。